~~~とらとらいおん、似た者どうし、彼らの名前はテニスコーツ~~~

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ニスコーツというバンドがいる。クラシックギターと鍵盤の二人組。しかし、決してフォークデュオじゃない 。紛れもなく彼らはバンドである 。むしろマインドはハードコアだと思ってる。ぴ-ぽ-との出会いは2014年、震災のあった年だ。311の次の日だったかな?思えば、すでに自粛のムードがはじまった日本でグッゲンハイム亭でみたのが生声のテニスコーツだった。

あの日、ハレルヤをきいて、どんな理由であれ音楽をとめることが未来なはずないと皮膚感覚として悟った。あの日、あの時、曲は未来だった。

実はさやさんと会ったのはもっとずっと前、それこそまだGEZANなんてはじめてもいなかった。イーグルにギターのFコードの押さえ方を教わって、指の先が痛くなってる、そう、まだそんな頃、京都のPARALLAXという現代音楽やノイズなどを扱う7畳くらいのお店に一人でレコードを買いにいった時だ。ジャケ買いで買おうと手にとっていた白黒のフィルムで撮られた女の人のジャケットのアルバム、お店の紹介からピアノのアルバムのようだった。手にとるなり静観な時間がなだれ込んでくる。甘い静寂の匂いのする12インチの綺麗なレコード。これは見つけたと確信していた 。それを手にとり店内をウロウロ。

ほしいものがいくつも見つかるので背中にそのレコードを置き、一枚一枚LPをめくっていた。

しばらくしてふと振り返ると、あれれれ??そこにはLPがない。

WHY????

そう、それを店内にディスプレイされていたと思って手にとっていたのがテニスコーツのさやさんだった。

–わーーー。言えない。。。ワタシが買おうとして置いておいたんですけど、とは言えない。

いくら強引さに定評があるTEENのまひぴぽでもそれは言えない。 後ろに置いていたのは紛れもなく自分で、これはレコード屋の無言の掟に近い 。自分の手にしたものは脇に寄せておけよと。あとは最終ふるいにかけて「やっぱや-めた~~」ってパターンを狙うしかなく、ぴ-ぽ-は目を閉じてPARALLAXの天井を突き抜けて爪の先のような三日月に祈った。しかしその祈りはむなしく、さやさんはそのLPをしっかりと買っていった。ひとりぼっちのレコード屋でオレは途方にくれた 。あの甘酸っぱさが出会った日の匂いな。今でもそのLPが何なのかはわからない。

それから何年もたって、今テニスコーツと一緒にツアーをしてる。熊本、鹿児島、別府、福岡、山形、福島 音と人の隙間を駆け抜ける。レコードコーエンが死んだ11月にハレルヤが鳴っている。

そうそう、ツアーの道中で驚いたことが一つ。現在マヒポポがGUAYSのヒロシと神田川沿いでルームシェアしている家は草陰からタヌキがひょっこりあらわれたり、イトトンボの群れや、twitterにもあげた渡り鳥の大群が羽休めをする竹林に囲まれた本当に東京なの?と疑いたくなるような不思議なところなんだけど、なんとね、17年前にさやさんが住んでいたところだったのだ–。同じ大家さん。ぐーぜん。びっくりまんぼー。

でもさやさんも川を歩いていたら不思議なところがあったから空室があるか聞いてみて入居したって言ってたからあながち偶然じゃなくて、根本的に好みなのかもしれないけれど。嗅覚って不思議なものですね-。時空のトンネルをくぐったみたいだ。

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旅の最中、植野さんは「ツアーで一度はケンカするんだよな-」とボヤいていたけど、ワタシ見てました。毎日ケンカしてました。別府の八回建のホテルの部屋の壁を突き抜けて怒号が聞こえる深夜3時

「イェーイ!じゃねぇだろぉぉぉ!」

植野さんの声。

そんな会話の次の日、福岡のライブでまたもや「イェーイ!」と言い放ったさやさんに戦慄が走ったのを覚えてる。あのポップでしかないイェーイ!にお客さんは笑っていたけど、昨晩、その怒号を聞き、枕に顔を押し付け耳を塞いで寝たねばーえんどろーらーずの3人だけはちがった。またケンカがはじまるのではないかと神経は勢いよく緊張してハラハラした。ハラハラ。

虎とライオン。似た者同士。

これを書いてる前日、山形のDO ITの次の日の朝もそうだった。朝起きると植野さんがいない。聞くと朝食中に第三次世界大戦が勃発して、車には乗らず新幹線ですでに出発したという。

さやさんの運転で二人、福島にむかう。頭の中で流れる テニスの新曲演歌・似た者同士(disk4収録) 、フロントガラスに青い桜が舞いその音を振り払うようにパジェロミニはそれでも進む。

福島tissue boxにオープンした後到着、さらに30分遅れて植野さん。体調不良もあってか会場で会っても冴えない表情のふたり。

マヒトさんのライブはというとツアー疲れかHPも切れかけてるしDO ITでのYOSHIKIばりのドラムで指は切れてて弦が抑えられない。喉は乾燥でねじれて冬枯れのような歌だった 。心臓はカサカサに乾燥しているのがわかる 。理由はないけどライトな絶望感。音を立てて小さくなっていく体。

そんなこんなな楽屋のテニスコーツ。–頼むから仲直りしてよ~~~ぴ-ぽ-の祈りむなしくすり合わせてる様子はない。

でもそんな心配はいらなかった。

音楽がはじまると虎とライオンは弧を描いてそこに海をつくりだした。乾燥していた心臓が海水で膨らんでいく。言葉で越えられないものを音楽が越えていく様をみて、溢れるものがあった 。千とくりかえしてきたケンカを千1の音楽で越えていく。

きっとこれからもそうやって旅をつづけていくのだろう?二人も立派なNEVER END ROLLERです。認定。わはは。

そういえば昨日はスーパームーンだったってね。かっこいいよなあ。スーパーなんてつけられちゃってさ。スーパーピーポー。でも俺は普通の月で十分好きだ。いつか、月が見えない世界が来たら、その昔、空には月が上がっていたことを皆うらやましく思うだろう。いつもあるってすごいこと。

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植野さんがツアーの最後、こぼしていた。「おわっちゃったなー寂しいなーでも君たちが終わらなきゃまたやることになるでしょ」

あんだけもう限界か?と思えるようなケンカをしていてすごい自信だと思った。悪いけどオレたちもそんなヤワなハートでやってないよってね。wasted youthの底から這い上がる。全感覚祭でも会えるしねー。12月11日の多摩三角公園はどんな一日になるんですかね。

永遠に永遠でもってつきあっていく。

オレのともだち、サイコー。とっても愛してる。

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マヒトゥ・ザ・ピーポー

2009年 バンドGEZANを大阪にて結成。作詞作曲をおこないボーカルとして音楽活動開始。2011年沈黙の次に美しい日々をリリース。全国流通前にして「ele-king」誌などをはじめ各所でソロアーティストとしてインタビューが掲載されるなど注目が集まる。
2014年、kitiより2ndアルバムPOPCOCOON発売。2014年には青葉市子とのユニットNUUAMMを結成し、アルバムを発売する。
2015年にはpeepowという別名義でラップアルバム Delete CIPYをKーBOMBらと共に制作、BLACK SMOKER recordsにてリリース。多方面からうたの可能性を探求しながら活動中。
また音楽以外の分野では国内外のアーティストを自身のレーベル十三月の甲虫でリリースしたり、野外フェスである全感覚祭やZINE展を主催したりとボーダーをまたぎ自由なスタンスで活動している。

GEZAN 公式サイト

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