~clear vision about opaque~ – the hatch interview

———— このアルバムをリリースして、期待してることとかはあるの?

み:もう完成しちゃったから、このアルバムに対してはないかな。制作費回収できるのと、十三月に迷惑かけなければいいなって思う。(笑)

り:あとはみんなうまくいってほしい。

み:蛯名さんが「ハイスタくらいに名盤なれ」って言ってくれたんだよね。でも、俺らは若者を先導していくような音楽でもないかなって思う。これはりょうけんが言ってたんだけど、このアルバムが出て音楽に対して真摯に向き合う人が増えたらいいねって。おれも本当にその通りだなって。

り:いま、俺らも想像してないようなものがどんどん曲として形になってくから、そういうものを信じてやる人が増えたらいいなって思うんだよね。

———— なんかシーンとかカルチャーのいまは絶望の流れだと思ってて。いろんなものが1つひとつ売れなくなっていって、カッコいいとされるものが評価されなくなって。54−71、ゆらゆら帝国だってメジャーだったわけじゃん。でも音楽はそうさせないって思ってる数少ない人が粘りまくって、少しでも延命してるように見えるけど、やっぱり嫌な流れなんだと思う。上の世代は一度いい思いしちゃってるから、それを下降って呼んで絶望してるけど、俺らはそれを知らないじゃん。むしろ、最初から開き直ってるし、いまりょうけんが言ったような希望があると思うんよね。最近は「オルタナ」ってこれからのキーワードになると思ってて。分かりやすく明るくて開けてるものではない、表面的には何色なのか分からないけど、希望とか可能性を感じさせる音楽は、そういうテイストなのかなって思ってて。『OpaqueAge』は1stだし、りょうけんはドキドキを込めて言ったのかもしれないけど、the hatchにそのニュアンスを感じたというか。

み:作ってて間違いないっしょっとも思えたから。このタイトルもそうだけど、開き直りというか、そうであることを否定しないって気持ちだよね。

———— そういうスピード感とか、軽快なのに確信を持ってるやつは選ばれてるやつだと思うんだよ。考えちゃってるな、っていう重さとかをthe hatchには感じないから。

み:そういうところに噛みつこうとしてクロスオーバーしてるんじゃなくて、流行ってるからじゃなくて、やりたいことをロジカルに捉えて消化してるだけだから。昔のオルタナとかミクスチャーは細分化されてなくて、一個一個ラップがあって、ロックがあって合体って感じだったけど、the hatchはこのリズムで、このニュアンスで、R&Bっぽいベースラインでとかって、めっちゃ細かくして合体させていったから、新しいニュアンスがあるのかも

り:きっとそれは、みどりの情報収集能力が生きてるのかなって思うよ。

———— 俺はもっと自然なものに感じるね。

み:前まで、ロジカルに考えてるんだなって意識してたんだけど、最近、以外と俺は勘でパッと出していくところはあるのかなって気づいた。あとなんだろ、自分の中の言葉にできないようなピュアなものをパッと出すって、りょうけん、それこそマヒトとか下っちゃんを見て、捻くれない素直に出すってことが、最近やっとできるようになったって思ったんだよね。

り:最近のみどりはそれがかっこいいんだよね~。

———— 「天才は99%の努力と1%の才能」って、努力はめちゃくちゃ大事だよって意味で言われてるように思うけど、本当はどんだけ努力しても1%の才能がないと天才になれないっていう皮肉で言ってるらしくて。だから論理で積み上げたつもりでも、最後の1%がみどりの感覚で押し出されてなかったら、俺もあんまり好きになれてなかったかも。だから割合はどうであれ、そういう当て勘みたいなものを俺は感じたんだよね。

り:そこの共通意識はバンドにもあるかも。みどりが感覚的にカッケェってなったものには、みんなカッケェってなるんだよね。

み:それってみんなに気付かされた部分もあって。俺才能ないからってガーていろいろ積み上げてたけど、みんなが評価されているのはそこじゃないんだなって最近気づいたんだよね。

り:東京でいろんなバンドと対バンするようになって、こういうカッケェがあるんだってすごい学んだな。みどりも言ってたけど、マヒトとか下っちゃんを見て、色々気づいたっていうのは俺の中にもすごいあって。

み:でもさ、本当メンバーの信頼関係なかったら、こんなにいいものになんなかったね。レコーディングも、俺ガンガン言いまくったから揉めるかなって思ったけど、メンバーも付いてきてくれたし、俺も皆の言うこと聞けた。

り:ギター弾いててさ、みどりのバックバンドとしてやってるんだなってのが大きくなった時期も実はあったんだよね。

———— 明らかにみどりがフロントマンとしてのスイッチが入った瞬間があったもんな。

り:最近はカッケェーって思いながらギター弾いてる(笑)。

み:昨年末にりょうけんと長く続けていた別のバンドが解散したり、疲れでギックリ腰やったり、いろいろ音楽との向き合い方について悩むことがあったんだけど、それが吹っ切れてからよりフロントマンとしているのが当たり前になれて。あと、自分の歌を聞かしたいって思うようになった。

———— この先はバンドとしてどうなっていくの?

り:もうちょっとメロディに近づけていきたいんだよね。

み:レコーディング終わった後くらいから、やりたいことたくさん出てきてて。

り:俺の意見だけど、初期のthe hatchはメロディとか展開とか、繋がらないものを無理やり繋げて変なものを作る感じだったけど、いまは繋がるものを繋げて作って行ってるから、どんどん俺とみどりの共有してる、the hatchのコード感とかメロディが今後、形になっていくと思うな。このアルバムでも、その片鱗が見えてきたなって思ってて。

み:アルバムを作ってて後半の方にできた曲は、そういうところが強く出てる。これからっていうのが、自分らの中で見えてきた感じはするから、これからが楽しみだよね。

 

RELEASE INFO

the hatch 1st Album 「OpaqueAge」 2018年9月5日発売

十三月の甲虫主催のイベント “全感覚祭” や OKAMOTO’S のドラマー、オカモトレイジ主宰の24時間エキシビションマッチ “YAGI” に参加する等、札幌を飛び越え全国的に活動し注目を集めているオルタナティブ・バンド the hatch が、GEZAN が主催するレーベル<十三月の甲虫>より待望の1st Album『OpaqueAge』を 9/5 にドロップ!狂気的かつ精度の高いライブパフォーマンスに、ポストパンクを感じさせる硬質なサウンドとボーカルのシャウトに、ファンクやネオソウル、現代ジャズやアフロなど、多彩なリズムを軸とした現行のアンサンブルが過度に転回する楽曲でライブを展開。正規音源としては今回が初のリリースとなる。

■リリース情報
【バンド名】the hatch
【タイトル】OpaqueAge
【レーベル】十三月の甲虫
【品番】JSGM-28
【価格】¥2300(税込)
【フォーマット】CD
【発売日】2018年9月5日

tracklist:
1. hi(overture)
2. 恐竜は俺の祖先
3. グレープフルーツ
4. Stumina Jackson
5. REALGOLD
6. VEGITA&THE FAMILYSTONE
7. SEXGAME
8. phantom poop
9. CONSTANTINE(Interlude)
10. Mme.Bonjasky
11. 生まれる前のセクシーキング
12. Higuchicutter
13. SPACE BATTLE NIGGA
14. 2 AM(stoned)

EVENT INFO

 

“BODY ODD” at Contact Tokyo
2018.8.31 Fri. 22:00 start
Adv. \3,000 Door \3,500

act:

GEZAN
GHPD (OMSB×USOWA×Hi’Spec×YELLOWUHURU)
Campanella
RAMZA
GOD
QN
Black
Boboi (小林うてな×Julia Shortreed×ermhoi)
the hatch
KK manga
phonehead

 

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