———— 北海道ってDischarming manの蛯名さんもそうだし、もっというと、ブッチャーズ、イースタンユースがいるわけやん。そういう北海道感って、みどりとかりょうけんは感覚としてある?
み:正直、ブッチャーズとかイースタンとか、そんなに聞いてなくて。でも、最近思うのは、今までハードコアだって自然と耳に入ってたものが、札幌特有のものだったんだなって。りょうけんとかザキヤマの方がバンド経験が長いから、そういうシーンに憧れ的なものがあるのかも。
り:当時はブッチャーズとかイースタンよりも、目の当たりにした札幌のバンドからの影響の方が強かったかな。discortotion、TG Atlasとか、あとはTHE SUNのイサイさんのギターはマジで喰らうし、ヒントになる。
み:GOMNUPERS とかは?
リ:最高だね!
み:やっぱ俺の中じゃ、KIWIROLLが圧倒的にでかいな。なんか痛々しさみたいなものがある。
———— それはどっからくるんだろうね。
み:土地、冬(笑)。でも本当にそうだと思う。北海道の人って、冬が来たら鬱かってくらい全員テンション下がるんだよね。人付き合いも悪くなるし、どんどん精神的に暗くなってく。
り:歪んでるかもしれないよね、全員。
み:だから音楽に対して、踊って楽しむって感じの人はあんまりいないんじゃないかな。特にハードコアのシーンの人たちは。
り:北海道だと集まって、音楽やって、楽しんでっていうのも少ないかもしれない。家で誰とも共有しないで出来ていくものが、冬は特に多いと思う。
み:パーティー感的なものはないよね。
———— みどりはthe hatch以外にもいろんなバンドやってたわけじゃん。その中からthe hatchが特別な存在になっていくタイミングってあったの?
み:あったよ。バンド始めた時は二十歳だったんだけど、周りにいた人たちの方が経験も長くて、それに追いつくためにたくさん経験踏みてぇって思って。だから、中華一番でトラック作ったり、the hatchでハードコアやったり、HAPNING STYLEで小難しいジャズみたいなことやったり、それぞれのバンドの制限の中で、ちょっとずつ勉強できたらって思ってさ。でも、この歳になってくると、みんな仕事もあるし、学生の時みたいにたくさんのバンドもやれなくなってきて、音楽の価値観が違うと、同じバンドの中でも、全員が同じ歩幅で進むことができなくなるじゃん。自分の人生の中心としてやってくって意識のやつが、4人、5人集まってバンドをやるって結構奇跡的なことなんじゃないかなって思い始めて。それでバンドの活休・解散っていうのもあって、そこらへんのタイミングから、今まではthe hatchっていう制限の中だったたけど、もっといろんな消化ができるんじゃないかなって思えてきたんだよね。メンバーの技術もやりたいことのイメージに追いついてくるようになってきて、そしたらthe hatchでやりたいこと全部できるのかもしんないって。それが去年の秋くらいかも。まぁ、マヒトが持ち上げてくれて、全員のモチベーションも上がって行ったのもめっちゃあると思うけどね(笑)。
———— 最初のみどりの印象はいろんなバンドやってるって感じだったんだよね。最初に東京来たのってセミファイだっけ?
み:いや、最初きたのはKK mangaのレコ発かな。東京に行ってるのって、ほとんど十三月に誘われてだよ。友達できるのもそこらへんだし、結局仲良くなるのもそこらへん。
り:やっぱ東京に来るようになって、スゲーやつにたくさん会うようになってから、気持ちは変わっていったよね。マヒトがこのあいだ天下一武道会って言ってたけど、ほんとそんな感じ。
み:いろんなバンドで東京に来たけど、the hatchの時が他のバンドからの刺激は圧倒的にあったな。マヒトが選んで持ってきてくれるバンドに刺激をもらうことが多かったというか。自分がthe hatchをもっとやんなきゃっていう意識に変わっていったと思う。
り:その分、ダセェバンドには興味なくなって行ったし。 最初はそういうところでも希望見出していけるかなって思ったんだけど、東京に来るようになってから、俺らのいる場所じゃないなって思えてきた。
み:音楽に向けてる姿勢が全く違うし、そもそもの場所が全く違うなって。the hatchがいろんなライブ出るようになってから、周りの大人に「多くの人に評価されるためにどうしたら良いか」みたいなこと言ってくる人が結構いて。別に俺は自分の人生を豊かにしたいとか、個人がどうなりたいで音楽をやってるんじゃなくて、音楽そのものに対して音楽を捧げてるだけであって。りょうけんも言ってたけど、音楽を目の前にして、自分がどうあるべきかなんだよね。前インタビューで「あなたにとって音楽とはなんですか」って聞かれたことあるんだけど、そんなこと考えたことない。俺にとっての音楽じゃなくて、音楽にとって俺がどうあるべきかってことを考えてるから、なんならもう最高にいいもの作って、とっとと死んでいいもん。それ以外にやりたいこともねぇし。
り:確かに~。それは俺も一緒だな。
み:それ以外、別に必要ねぇんだよな。