PART TIME PUNKS


グアイズというパンクバンドが2ndアルバムをリリースする。たかだか2枚目のアルバムが出ることは珍しくもなく、そんな大騒ぎすることかと興味の遠い人は思うかもしれない、が、はたしてホントにそうだろうか?結成当時から知るオレはそんなことは微塵にも思わない。彼らは最初から細胞的に音楽なしには生きていけないようなタイプのファンキーな奴らじゃなかった。バイトし、教職をとり、社会に出ていく、そんなヤツらが音楽の魔法に突き動かされて山を転がり、谷を飛び越え、メンバーもかわりながら2ndアルバムにたどりついた。After my vacant 。これはそんな彼らの足跡だ。最初からクソほど友達のオレと、インタビュアーのくせに音源は買って聞きたいからという理由で試聴拒否したカイト。こんな二人が話を聞いたのだからそれは良くも悪くもPYOUTHなインタビューになるのだけれど、とっくに起きてた奇跡をお付き合いいただけたらと思う。勇気がでるかもね。

Edit , Interview : マヒトゥ・ザ・ピーポー, カイト

photograghy by Shiori Ikeno


グアイズ結成~大阪時代

———— グアイズの成り立ち知らない人も多いと思うし、成り立ちから行きますか。

キャプテン:成り立ちね…一番最初は俺とヒロシがマヒトの紹介で会ったんよな。あれは18歳か19歳の時か。

ヒロシ:うん、10代だった。俺はグアイズをやる前は、シューゲイザーのバンドやってて(笑)。下向いて、暗~い曲のやつ。もうこんなやりたくないわってずっと思ってて。

皆:爆笑

ヒロシ:で、マヒトくんにパンクバンド組みたいって相談してた。そしたら、いいやつがいるって、キャプテンを紹介してくれた。

キャプテン:どこでやったけ?

ヒロシ:俺がいたサークルの新歓にOBとして見に来てたんよね、ミッシェル・ガン・エレファントのTシャツ着て。

キャプテン:せやった(笑)。

ヒロシ:キング・コングの前で話したのはすごい覚えてるんよね。会わせたいやつおる、みたいな感じで。で、意気投合したというか。

キャプテン:そう、でも最初はメンバーが見つからなくて、二人でずっとスタジオ入ってた。

ヒロシ:その時期は結構長かったな~。二人でリフの出し合いっこを3時間やってた。

———— リフの出し合いっこ3時間はだいぶタフだね(笑)。

ヒロシ:でも、ドラムいないとやっぱアカンわ、って話になって。その時期はBIG BLACKにハマってたから、リズムマシーン入れてやるしかないわ、みたいなことまで話してたもん。 

———— そこでユッキーが登場するわけね。

キャプテン:あれは追いコンやったかな?

ユッキー:うん、パティ・スミスやってん。

キャプテン:そこでユッキーのライブを見てて、やっぱユッキーかなっていうのはあって。その時はマヒトもタカもその来てて、ライブハウスで皆で話してる時に、もうドラムユッキーでいいんちゃう?みたいな感じで言われて。

———— でも最初はヘルプみたいな感じじゃなかった?ちょっと手伝ってもらうくらいで。

キャプテン:そうそう。最初はそう言って入ってもらった。

ヒロシ:俺らがリフの出し合いっこしてるスタジオにユッキーがきて、適当に叩いてって。そこでやっと始まったよね。

キャプテン:元からサークルの先輩後輩でもあるし、俺らの近くの人のムードでできる、っていうのがやっぱりデカかったな。

———— でも、ヘルプでやるバンドじゃないよね、最初から。何なら勢いでそのままメンバーに、っていう流れだよね。

ヒロシ:俺は最初からあったよ、その考えは。

ユッキー:一年間だけやから、って最初に言われたんよ。

キャプテン:ユッキーはずっと就職したいって言ってたから、じゃあ就職するまででいいから、とりあえずお願い!って言って誘った。

ユッキー:それで手伝う気持ちでやってたらさ、気づいたら月に10本とかライブしてて! どないすんねん、これって!(笑)

皆:爆笑

ユッキー:そんなん、次のドラムに引き継げないやん!って思って。

キャプテン:ユッキーは最初、絶対辞めたいってずっと言ってて。仕事がしたいからって。

———— 確かに、あの頃のユッキーはずっとバンドやってくって感じじゃなかったもんな。

ユッキー:そんなつもり全くなかったよ。

———— キャプテンも教職取ってたし、先生やったしな。

キャプテン:せやねん。教育実習も行ってたし、その流れで非常勤で先生やってたからな。

———— そうなの!?

キャプテン:英語の先生やったよ。めっちゃ頑張ってたで、実は。でもそん時、ちょうどGEZANが始まってたりして、俺もバンドやりたいねんけどな~って、心の内にずーっと思ってて。

———— 先生やってたし、なんだかんだでバンドはやらずにしっかり生きて行くんやろなって思ってたよ。でもこうやって、具体的にバンドに引っ張られ始めたのはいつくらいからなの?

キャプテン:やっぱりライブやり始めてからよね。

 

———— そうだ、初代ベースのモモちゃんはいつ入るの?

ヒロシ:初めてのライブ決まる1週間前にモモちゃんが決まるねん。モモちゃんは俺の短大の同級生で今からスタジオに来てよって連絡したんよね。

———— そういえば、モモちゃんのメールアドレス、「gingnangboyz@」だったよな。

ヒロシ:よう取ったよな、ほんとあれは。

キャプテン:その時、これでスタジオに来たらメンバーに誘おう!って。俺らとしては結構大事な瞬間やったかもな。そしたらスタジオに来たから、ベースで入れて。

———— これでグアイズが揃った!

ヒロシ:最初はとにかく無心にライブやりまくってた。

キャプテン:単純に、バンド楽しいなって喜びがめっちゃあったな。パンクできるわって。ユッキーもパンク好きやし。モモちゃんもラモーンズめっちゃ好きやし。ライブができることがとにかく嬉しかった。

ヒロシ:しばらくして一番最初の音源出すってなった時に、マヒトくんとCDを出そうって話すんよね。あのキャプテンの笑顔のやつ。

十三月の甲虫からリリースされたグアイズの1st CD-R「Go Run Gun」

キャプテン:タカに録音してもらったんよな。アイランドっていう、東京だとまずありえないくらいボロボロのスタジオで。マイクもカラオケのマイクだし、床も汗でビチョビチョで。あそこで24トラックのMTRで録ったんや。

ユッキー:あれが初レコーデングやったね。

ヒロシ:マヒトくんとタカくんが一緒にスタジオ入って。それをリリースするタイミングで、バンド名を変えようって。

キャプテン:そうやそうや。あれは2011年の6月1日だった。

———— その日に『THE GUAYS』になったんだ?

ヒロシ:俺らは結成が2010年なんだけど、最初の1年くらいはずっと「革命トリオ」だった(笑)。

———— 革命トリオ…!

ユッキー:そもそも4人やしな…。

ヒロシ:うん。バンド名変えようってことになるんだけど、その時の候補が「昭和平成」、「スーパーライン」、「直球天国」とかだった。

皆:爆笑

———— キャプテンのバンド名センスが光ってた時期やったな。

キャプテン:その時マヒトからは「命」と書いて、ともしびと読むバンド名ををゴリ押しされて。「ともしび」のバンドロゴがイラスト付きで送られて来て。俺らは真に受けて真剣に悩んでたからな。

———— ともしびにしなくて本当に良かった(笑)。

ヒロシ:そんな時、「GUAY」はスペイン語でかっこいいっていう意味だってキャプテンが見つけて。じゃあ「THE GUAYS」にしようって!

———— あれはキャプテンのファインプレーやったな。最初はライブどこらへんでやってたの?

ヒロシ:その頃はHOKAGE、HARDRAIN、戦国大統領あたり。

ユッキー:ブッキングにひたすら出てたな。

ヒロシ:うん。仲良かったのはロック大臣ズあたりだった。

キャプテン:それでちょっとしてからKK managaのハマジと会うんやけどな。あとは下山か。

ヒロシ:だけど大阪の頃、GEZANと一緒にやったのって「bug me tender vol.1」くらいやな。あの時期、一番多い人の前でやったのはその日かもしれない。俺ら一番無名で、絶対人が入らないからっていうのもあって、最初に1番手で下山が静かな歌モノセットで1番手でライブして、客が入ってからグアイズがやったんだった。

キャプテン:あの時、300人とか入ってたんだっけ。すごかったよな。

 

———— 今は革ジャンがグアイズのトレードマークだけど、そのスタイルは最初から?

キャプテン:最初、衣装に悩んでたんよ。

ヒロシ:最初の頃、俺は短パン上裸、ハイソックス。

ユ:モモちゃん最初チャイナドレスやった…。

皆:爆笑

キャプテン:俺はカッターシャツとか柄シャツやったし…。

ヒロシ;一番最初に俺が革ジャンを入手してたんやけど、新しいの買うからってキャプテンにあげたんよ。同じタイミングでモモちゃんもシングルのライダースを手に入れてて。

キャプテン:それで一回革ジャン着てやってみよかってなったんよな。

ヒロシ:その前からHOKAGEの佐野さんに、お前らは衣装がダメだってずっと言われ続けてて。特に俺だけは、なんでお前だけそんなメロコア小僧なんや!ってめっちゃ責められてたんやけど、革ジャン着てライブしたら、「ええやん」って。

———— じんわり佐野さんに狂わされていった節もあるな。

キャプテン:でも、そっからやな。自分らでもしっくり来た節はあった。

ヒロシ:その時は曲も、革ジャンに合う感じだったんよね。

———— その頃はガレージだし、ジャンクだし、ハード・パンクって感じやったしな。その頃は皆どういうの聞いてたの?

キャプテン;めっちゃガレージ聞いてた!

ヒロシ:プッシー・ガロア。キャプテンに教えてもらったし。あとはジャンク系のガレージが多かった。

キャプテン:うん、あとはthe Milkshakesとか。

ヒロシ:ミッシェルの流れもあるもんな。Dr.feelgoodも聞いてた。

———— キャプテンは最初、かなりミッシェルフォロワーだったよな。ギターもグレッチ使ってたし。でもミッシェル熱が収まっていったよな。

キャプテン:せやな。バンドを始めた頃って、そこまでライブハウスも行ったことなかったし、グアイズが始まってバンドやっていく中で、友達のバンド見たりしていくうちに、ギターって投げていんやって思ったんよね。そういう衝動ってあるんやなって気づいたというのか。その時の衝撃がすごくて。これは大阪のノリかもしれないんだけど、綺麗にライブすることが、なんかかっこよくないと思ったから。

———— 大阪の悪しき風習でもあるかもだけど、佐野さんとか、GEZANとかKK mangaとか、ライブの中で、どんだけ弦を叩きつけるか、どんだけ気合ブチ込めるかって感じやったもんな。ライブの告知とかしてんじゃねぇぞ、ライブ中に笑顔見せてんじゃねぇぞ、みたいな。

ヒロシ:傷を持って帰らないとダメみたいな。でも、それは今も根底にあるな。抜けへんと思う、ずっと。

キャプテン:だから普通にライブしよったらあかんなって思ったもん。MCしたら媚びてるみたいな風潮あったし。

ヒロシ:めっちゃあった!

キャプテン:単純にそういう風に、周りのバンド見始めてってのが大きいかな。あとはレコード屋さんに行き始めたのも大きかった。○か×とか。そこでまたさらにいろんな音楽を聴くようになって。

ヒロシ:ミッシェルを真似してるバンドって大抵ダサかったから、それはめっちゃ嫌やなって二人で話してて。そこからジャンクとか聞いて、どんどん崩れて行ったのかもしれない。そしたらキャプテンが本当にすごい展開の曲を持ってきて。

ユッキー:最初の頃は本当に展開がすごくて、うちらプログレみたいって言われてたくらい。

ヒロシ:グアイズはその時もはやスカムバンドって言われてたな。

———— 確かにあの頃の曲は、すごいタイミングで理にかなってないような展開が入ってきて、ガレージなんだけど、絶対に乗れないような音だったと思う。不思議だった。

キャプテン:違うことしなあかんっていうのは思ってたな。

ヒロシ:その時のキャプテンはビンテージのFUZZも置いてたし、俺もエフェクター10個くらい並べてた(笑)。

———— そろそろ1stアルバム「砲撃」ができる頃?

ヒロシ:アメリカツアーから帰ってきてその勢いで作った。あれは2012年やな。

ユッキー:大阪にいる時よね。ちょうどアルバムリリースのタイミングで東京に出てくる。

キャプテン:ちょうど1stアルバムのリリースのタイミングでHOKAGEでワンマンをやってんねん。

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