INTERVIEW with Cloud Nothings

2017年4月11日。久しぶりの大雨。この日Hostess Club主催によるCloud Nothingsの来日公演が恵比寿リキッドルームで行われた。Cloud Nothingsはアメリカのオハイオ州クリーヴランド出身の4ピース・オルタナティヴ・ロックバンドである。2009年フロントマンのディラン・バルディによって結成され今回3度目の来日公演があると聞きインタビューをしようと決めた。僕は彼らの大ファンだ。ディランはまだ25歳と聞いて本当に驚いた。キャッチなーメロディにささくれ立ったギターとディストーション。全てを吐き出すようなシャウト。どれもがかっこよくリアルタイムで僕らを夢中にさせてくれる。インタビューの前日は緊張で一睡も出来なかった。なぜなら初めてインタビューがCloud Nothingsだからだ。僕は気合を入れるためにいつもよりたっぷりめにダイエースプレーをモヒカンに振って会場へ向かった。ディランは日本の変なパンク小僧が来たと思ったかもしれない。でも緊張している僕に優しく接してくれた。彼らの音楽のファンとして、バンドマンとして、同世代として、たわいも無い日常の話や好きな音楽のことなど聞きたいことを短い時間の中で聞ける限り聞いてみた。最後「インタビューよかったよ」って言ってくれた。僕にはとても大切な時間だった。ディランと会って話を聞いた後彼らの音楽に触れてみるといつも感じていたものと違った輝きを感じた。これを読んでくれてるあなたもそう感じてくれたら嬉しい。

 

Edit , Interview : Hiroshi 
Translator : Satoko Akai
photo by Shiori Ikeno


 

———— 約3年ぶりのジャパンツアーですね。前回の来日で印象に残っているエピソードをきかせてください。

ディラン:日本でだよね?うーんいつもクレイジーだけど、なんかあったかな、TJ(ベース)助けて!

TJ:前回の来日でしょ?それってあの時だよ、ジェイソン(ドラム)がArt-Schoolの人を持ち上げた時だよ、ハハ!

ディラン:そうだそうだ、Art-Schoolってバンド知ってるでしょ?おれら前回の来日で対バンしたんだ。その時おれはいなかったんだけど、ジェイソンが彼らとカラオケに行ったんだ、それでなぜかボーカルの人を持ち上げて街を練り歩いたらしい、あの話しはウケたね。

 

———— (笑)。ツアーは好きですか?

ディラン:好きだよ!しばらくしてなかったけど、ここ数ヶ月長い間ツアーに出ていてようやく自分がツアーが好きだって思い出したよ。特に日本のツアーは好きだね、いつも楽しいよ、毎回東京と大阪の両方でライブするんだ。今回でもう4回目の来日になるね。 

 

———— そう言えばレコードが大好きと聞いたけど、日本に来てレコード屋に行きましたか?

ディラン:今朝ディスクユニオンに行ったよ、僕らの泊まってるホテルのすごい近くにあるんだ。ジェイソンはちょうど今レコード探しに行ってるよ。どこに行ってんだか知らないけど多分テクノとか(笑)。日本は本当に品揃えがいい。なんでも見つかる、クレイジーだよ。いつも欲しいものが多すぎて何も買えなくなってしまう。今朝も何も買えなかった…。

 

 ———— 値段も結構高いしね。

ディラン:そうなんだよね、今日20万のレコード見つけたよ(笑)。 

 

———— 20万?!

ディラン:クレイジーだよ。 

 

———— いつも行くレコード屋はある?

ディラン:いつもディスクユニオンに行くかな、ホテルが近いし。もう一つとてもいいところがあったんだけど、名前が思い出せないな。

 

———— 大体、何枚くらいレコードを持ってるの?

ディラン:わっかんないなぁ(笑)。常に買っては売ってるからね。その時期によって聞くものが全然ちがうから、ハマったら大量に買い込んで大量に売るんだ。髪の毛みたいにね~、のびたら切るでしょ。アッハッハッハ!

 


———— 
日本の音楽は聴いたりする?

ディラン:少しだけど聴くよ!KUROだっけ?ハードコアバンドとか裸のラリーズ、フラワー・トラベリング・バンドとか70年代の日本のサイケはよく聴くね。あとゆらゆら帝国かな。

 


80年代から90年代にかけて、九州を中心に活動していた伝説的ハードコアパンクバンド 「白(KURO) 」

 


裸のラリーズ(はだかのラリーズ)は、ヴォーカル、ギターの水谷孝を中心に、
1960年代から1990年代にかけて活躍した、日本のサイケデリック・ノイズ・バンド。

 

———— 白(KURO) とかラリーズ知ってるの!?いいねー!

ディラン:だろ?

 

———— 先日公開されたKEXPで「ビームス」ってカタカナで書いてあるTシャツを着ていたけど、好きなんですか?

ディラン:実はお気に入りのTシャツかも(笑)、ただ見た目が好きで買ったからなんて書いてあるか知らなかったけど!チャンピオンのオンラインショップで買ったんだよ。日本語の見た目が気に入ってるんだ、意味わかんないけど。アッハッハッハ!

 

———— 日本のファンの間でちょっと話題になってたんだよ(笑)

ディラン:まじで(笑)シアトルの寿司レストランでこれを着て行ったら店員に「なんでビームス?」って言われたよ(笑)おれは「なんでって、わからないよ」って感じ。なぜって聞かれたって、ビームスって書いてあるだけだよね(笑)。 

 

———— では新メンバーを迎え4ピースバンドになりましたがその経緯を教えてください!

ディラン:おれらが4ピースバンドにまたなった理由はアルバムを作るにあたってギタリストが二人必要だったっていうのと、単純に音も良くなる。ジェイソンとクリス(ギタリスト)は古くからの知り合いで自然な流れでクリスを迎えることになったんだ。  

 

 

左からDylan Baldi(vo,gt) , TJ Duke(bass) , Chris Brown(gt) , Jayson Gerycz(dr)


———— 
今作の『Life without Sound』を作るにあたって曲作りの面で変化はありましたか?

ディラン:あると思うよ、今作は制作期間が長く余裕を持って作る事が出来た。別に前から強制されて作ってたわけじゃないけど。でも時間に余裕があったから自分が作りたいものを作れたよ。それが良かったね、自分が望むサウンドになるまで何回も聴いて直してを繰り替えしたよ。

 

———— 少し抽象的な質問になりますが今作は自分にとってどんなアルバムになりましたか?

ディラン:確かに抽象的だ(笑)。特に意味はないかな、他のアルバムと同じだよ。その時の自分がどう感じていたか現わせるものを作っただけだ、その時の自分を記録するものかな。写真や日記みたいなね、すべて違うし、今作は自分にとっての新しいチャプターって感じかな。人生。

 

———— 真面目な質問になりますが、Spotifyapplemusicなどのデジタル・ストリーミング・サービスなどについてどう思いますか?

ディラン:んーわかんないな、俺自身も使うしダウンロードとか沢山するけど、レーベル側からしたら迷惑かもね、バンドにとっても悪いかな、僕たちはレコードを売ってお金を儲けてるわけだし。でも仕方がないんだよ、これは突然起こったことじゃないし。俺はなるべくフィジカルで買おうと心がけているよ、盗んでないよって証明するためにもね(笑)特に良い面、悪い面とか考えたことがなかったよ、変化は仕方のないことだし、自分たちがインターネット社会を変えることなんて無謀だしね。

 

———— 普段は何をして過ごしてますか?

ディラン:ダウンロード、デジタルストリーミング… 冗談冗談(笑)。普段か~、特に何をするってわけじゃないな。ツアーがなくて家にいる時は本読むかな。普通なことしかしないよ、コーヒーをたくさん飲むかな、もうこれは趣味だね。ツアーはかなり疲れるから家にいる時は本当に何もしない。特に彼女も家にいる時はただテレビをみたり、なーんにもしない!ただ座ってテレビ見てる。

 

———— 最高だね、それが一番だよ。

ディラン:そうなんだよ!

 

———— 出かけもしないの?

ディラン:ライブは行くね、ツアーがない時は少しだけ遠出もするし。でも普通のことしかしないかな、クレイジーなことはしないよ。

 

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